大阪高等裁判所 昭和26年(う)1521号 判決
所論はいわゆる警告の方法として警棒の使用は許されないもののように考えているけれども、警察官等職務執行法第五条の警告はまさに犯罪が行われようとしている場合にその予防のため関係者に発せられるものであるから、必要であると認められる場合においてはその事態に応じ合理的に判断して臨機適宜の方法が採用されなければならない。従つて必ずしも文書又は口頭のみに限定せられる理由はないのである。必要ある場合には行動によつて警告を発することも相当であるといわなければならない。
原判決挙示の証拠によれば、本件集会については当局より予め責任者に対し再度に亘り口頭による警告が発せられたのであるが、当日に至つて右警告を無視して集会がなされようとしたので更に当局は文書の掲示により群衆に対して「会場に立入り、又はこの附近に、蝟集し、佇立し、俳回することのないよう警告」を発したけれども、なお右集会が決行されようとしたので義山巡査等において前記行動に出たものであることが明らかである。しかして、かような事態の下において多数の群衆に対して、しかもスクラムを組んで警告に抵抗しようとしていた人人に対し右認定の程度に義山巡査が警棒を構えて群衆を押寄せたのはいわゆる警告として相当の行為であると言わなければならない。